今を大切に生きる

昨年6月ころだったと思う。物書き仲間の一人が突然亡くなった。彼は私より一つ年下。
八ヶ岳で死体で発見された。一人で毎月山登りに行っていた。発見されたときは、外傷もなく、病気でもなく、原因不明の突然死。物取りにあった様子もなかったそうだ。
彼とは、某研究会で出会って20年。堺雅人に似た風貌。穏やかな人だった。
歳の近い人の死は、驚きと悲しみでいっぱいになる。亡くなる半年前に忘年会で漏らした寂しげな言葉が心に残っていた。今思うと、なんとなく彼は自分の死を感じていたのではないだろうか。

人には必ず生老病死がある。そのことで悩み、仏門に入ったのがブッダだ。
今ブッダの映画が公開されている。うちにもブッダの漫画本が全巻揃っている。(潮出版)漫画とはいえ、「ブッダ」は奥が深い。手塚治は、仏教にも精通していたのだと思う。

「ブッダ」の物語のなかで、ブッダに自分の苦しい過去や思いを打ち明ける巨人ヤタラ。
自分が生きていることにを責めるヤタラに、ブッダは語りかける。
「人も意味があって生かされている。この自然の中であらゆるものとつながりをもって、縁を結んで。もし、あなたがいなかったら何かが狂うだろう。あなたはあなたで大切な役目をしている。あなたと出会って救われたひともいるはずだ」

そうです。この世にいらない命は一つもないのです。だから、自殺は絶対ダメです。そして、殺人も絶対ダメです。

たとえ今が苦しい悩みの中にいたとしても、ずっと続くわけではありません。いつかは必ず、その悩みを乗り越えられる日が来るはず。その日を信じて、精一杯今日1日を生きていきましょう。

失ったものを嘆くより、今自分の手の中にある幸せに感謝していきましょう。
幸、不幸はご自分の胸の中にあります。決して人が与えてくれるものではありません。
自分自身で作り出していくものです。