『忘れられた巨人』今まさに読むべき本

最近、立て続けにカズオ・イシグロの本を4冊読んだ。『遠い山並みの光』『日の名残り』『私を離さないで』そして、『忘れられた巨人』。どの作品も緻密に構成されている。登場人物のキャラもしっかり立っている。うまい作家だなあと思う。
イシグロには、共通した世界感がある。記憶である。特に『忘れられた巨人』では、記憶が顕著なテーマの一つになっている。そして、愛。ベアベアトリスとアクセルの老夫婦の愛の物語でもある。背景にはグレーとブリトン島の先住民ブリトン人と5世紀以降に島にヨーロッパ大陸から移り住んできたアングロサクソン人との民族の確執が描かれる。竜の吐く息が人々の記憶を薄れさせているので、両民族が仲良く暮らしている。竜が死ぬと竜が吐く霧が晴れ、記憶がよみがえる。
記憶がよみがえることによって、ブリトン人とアングロサクソン人の戦が起こると騎士は予言する。

今世界で起こっている民族紛争や日韓問題とも共通している。過ぎ去ったことをいつまでも恨みを持っていたら、仲良くはできないだろう。

また、ベアトリスとアクセルの夫婦の問題。最終ページの「じゃあ、さようなら、アクセル」「さようなら、わが最愛のお姫様」

この二人の「さよなら」の重たい意味。人は一人で生まれ一人で死んでいくのだ。

『私を離さないで』は、不条理の中で、自分がやるべきことを毎日コツコツ行っていく主人公。
目の前にあるやるべきことを地道に行う中にこそ生活があり、生きている意味があると思う。

ぜひ、一読をお勧めします。

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