絵本『空飛ぶ猫』について

絵本『空飛ぶ猫』は、空を見るのが大好きな茶虎の猫トビーが主人公です。
空を眺めていると、心が大きく広がっていくような気がするのです。
そして、いつの間にか「あの空を飛んでみたい」と思うようになるのです。
どうしたら、空を飛べるのか、毎日考えていました。「そうだ、小鳥たちに聞いてみればいいんだ」と思い付いたトビーは、小鳥たちに「空を飛ぶ方法を聞こうとしますが、トビーが怖い小鳥たちは、飛び立ってしまいます。
トビーは空を飛ぶことができるでしょうか?

1、夢を追うことや身近な愛をテーマにした理由は?
人は誰でも夢をもって生きています。小さいときは、「バレリーナになりたい」とか「医者になりたい」とか「歌手になりたい」とか、平気で人に話します。ですが、大人になるにつれ、「なれっこない」「恥ずかしい」と思い出し、人に自分の夢を語ることがなくなります。
語らなくても、心の奥底にはみんな夢をもって生きていると思います。夢がなくては生きていけないと思います。
愛も同じです。愛と夢は人が生きていくうえでとても大切なもの。人生に潤いを与えるものだと思っています。

2、猫が空を飛ぶという発想は、どのように得たのですか?

私は空を見るのが今でも大好きです。猫も大好きです。犬も好きですが、猫派か犬派かと聞かれれば、猫はでしょうねえ。好きなものを空と猫を掛け合わせたら『空飛ぶ猫」が出来上がりました。

 

3、トビーは最終的にサーラと暮らすことを選びますが、このラストの意図は?
やっぱり猫は猫ですから。「空を飛びたい」という見果てぬ夢がかなったとき、自分の一番大切なものが何なんのか気が付いたのです。

タイトルは忘れましたが、映画でもあると思いますが、社会的に大成功しておお金持ちになったけど、家族がいなくて寂しいとか。
夢と愛は人生にとって欠くべからざるものだと思います。
何かを成し遂げようと思っているとき、そのことに夢中になってしまうと、周りのことが見えなかったりします。でも、そのくらい一心不乱に取り組まないと、夢の実現はできないですよね。トビーは、空を飛ぶ夢を果たしてサーラが一番大切な人、猫だと気が付いたんですね。だから、サーラを選んだ。ですが、せっかく手に入れた空を飛ぶ力は手放さず、月夜の晩に猫が飛ぶ。

4、児童文学や絵本のどんなところに魅力を感じたか?
そもそも私は書くことが好きでした。いつか作家になりたいと中学生の時から思っていました。本を読むのが好きでした。ですが、小学六年生まで、本の楽しさは知らなかったんです。6年生の時盲腸で入院して、親が怪人十面相の本を買ってきてくれて、明智小五郎という探偵シリーズなんですが、面白くて夢中で読みました。そこから本の面白朝にはまり、中学、高校では夢中で本を読んでいました。
作家を志していて、下手な小説とか詩を書いては友達に読ませていました。友達にとってははた迷惑だったかもしれませんが、続きものにして書くのを楽しんでいました。
やがて就職して、結婚して、子どもを産むのですが、子どもが生まれてから絵本の読み聞かせを毎日するようになり、子どもの成長につれて児童文学の読み聞かせをしていて、児童文学の魅力にはまりましたね。とくに「ナルニア物語」「トムは真夜中の庭で」「ゲド戦記」数え上げればきりがないくらい、いい作品に出合いました。
子どもがわかる言葉で、人生の真理を伝えています。奥が深いですよ。

5、大人が絵本や児童文学を読む楽しみについて、どのように考えているのか?

大人が読んでも十分楽しめます。先ほども言ったように人生の真理をやさしい誰でもわかる言葉で世界を描いていますから。ですから、皆さんにも児童文学を読んでいた抱きたいですね。心の癒しにもなると思います。安房直子さんの「はなまめがにえるまで」「泣いた赤鬼」「もちもちのき」などなど。

6、物語制作の楽しみや大変さを聞きたい
ものがたりを作るのは、とても楽しいです。そこに世界を作るのですから。創造主ですよね。登場人物のキャラを考えたり、舞台設定したり、楽しいです。苦しいのは全くイメージが浮かばないときですね。
創作のために、本はたくさん読みます。本を読むことでボキャブラリーが豊かになります。絵画展もよく見に行きます。旅行も好きですね。きれいな景色を見ることで癒されますし、創造の刺激になります。これからもいい作品を書いていきたいですね。