カミユの『異邦人』の考察2 ソクラテスとムルソーの類似点

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最近読んだ本のカミユ作『異邦人』がかなり気になっています。
主人公のムルソーは、なぜ演技をしなかったのか。嘘をつくということは、自分が感じていないことを言ったりするのも嘘をつくことになる。
彼は太陽を愛し、存在すること、感じることの真理を重要視している人間だ。
ここがギリシャの代表的哲学者のソクラテスと共通しているように感じる。
ソクラテスもまた、無実の罪で死刑を宣告され、毒杯をあおって死に至る。弟子たちがソクラテスを逃がそうとしたのも拒否して。
一方『異邦人』の主人公ムルソーも死刑の特赦請願を拒否して甘んじて死刑を受け止める。
ソクラテスの弟子のプラトンの名著『クリトン』に、無実の罪で死刑を宣告されたソクラテスが語る。
『最も大切にすべきは、ただ生きることではなくて、よく生きることである』
『よりよく生きる』とは、一体どういうことだろう。『自分の信念に基づいて生きる』ということをソクラテスもカミユも言いたいのかなと思った次第だ。
『異邦人』名著だとつくづく思う。短編だが、示唆深い作品だ。こんな作品を描きたいものだ。